柏原 直樹
高齢化を背景にして疾患構成が大きく変化しています。腎臓病の増加もその一環です。慢性腎臓病(CKD)は全国で1300万人を越えます。腎臓病治療は進歩していますが、毎年4万人以上の患者さんが、新規に腎代替療法を必要とします。この地域においても同様です。腎臓病を早期に発見し、最適な治療を実施する、最高質の腎代替療法を提供する、以上を持続的に実現するための礎を構築することが本法人の目的となります。これまでも岡山、瀬戸内地域は腎臓、透析診療を担う専門医、医療機関も比較的多く、良質な医療を提供してきました。しかしながら、都市部以外では必ずしもこの限りではありませんでした。
人材を育成し、地域医療へ貢献することが大学の役割です。しかしながら、人的資源には限界があり、医師派遣、診療支援のご要請には、十分にお応えできないことが常態化しておりました。ニーズが人的資源を常に上回るという不均衡が続いており、これは容易に解消できません。
医療機関と医育機関が1対1で相対しても解決はできず、関係者が現状認識を共有し、最適解を見いだすしかないように考えています。20数年間、解決策を模索し行き着いたのが、「面として支える」というアイデアです。この地域で遍く良質な腎臓病医療が提供できる持続的で堅牢な基盤(プラットフォーム)を構築したく願っております。
本法人は、この地域の医療機関、大学等が、同一平面で各々の役割を果たし、面として地域の医療を支えることを企図しています。
具体的には以下の事業に取り組みます。
- 人材育成
- 医師と医療スタッフを対象とした持続的な教育
- 医師の最適配置、診療支援の最適化
- 腎臓病に関する啓発、良質な医療の普及
- 腎臓病患者さんとご家族の支援
- 研究事業
"If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together."
アフリカ遊牧民のことわざだそうです。私たちも皆で進むことで遠くの目標に到達できます。皆様のご理解とご指導を心よりお願い申しあげます。